言語聴覚士を1年目で辞めたい…なぜ新人で辞めようとしたのか?

「困っている人の役に立ちたい」そんな思いで、医療の道に進む方も多いと思います。私自身も、大学で言語聴覚士の治療場面をみて「こんな風に私もなりたい!」と、言語聴覚士を目指しました。

言語聴覚士は専門性が高く、「話す・食べる」など、人間の生活で基本となる部分にアプローチをする、という点で、なくてはならない職種だ感じています。

私自身は、専門学校卒業後に総合病院に就職しました。そこで、言語聴覚士部門を立ち上げ、嚥下訓練や言語訓練を行っていました。仕事自体はやりがいのあるものでしたが、新卒の時は何度もやめようと思いました。

もしかすると、あなたもかつての私のように「やりたいと思っていた仕事なのに、続けていく自信がなくなってしまった」と悩んでいるのではないでしょうか?

そんなあなたに、私の転職経験についてお話しします。少しでも参考になったらと思います。

目次
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新卒で言語聴覚士を辞めたくなった理由

職場の人間関係がつらかった

「転職したい理由」の第1位ともいわれる人間関係…私もまさにそれが苦しくて言語聴覚士をやめたいと思いました。言語聴覚士は、職種自体の人数が少ないのが通常です。

そのため、相談できる相手がいないとかそうしたことで辛くなる人もいるようです。一応、1年目の時の私の職場は、立ち上げの割には私を含めて三人と人数は比較的多い方だったと思います。

ですが、一緒に働いていたベテランの先輩と私と同期の人はどちらも不機嫌がもろに顔に出るタイプでした。朝に機嫌が悪かったりすると挨拶を返してもらえなかったり、業務の相談をしたいタイミングで声をかけるとむっとされたり邪険に扱われたり…と、声をかけるタイミングを図るのに苦労しました。

部署内の人間関係で悩まずに、患者さまのことだけ悩みたい、と何度思ったかわからないほどでした。

思っていた以上に業務量が多かった

就職してみてわかったのは、予想していた以上に業務量が多いということです。実習生として病院にいたときにも業務量は多いイメージはあったのですが、想像以上でした…。

基本のカルテ書きに加えて、実施計画書の作成、退院時のサマリー、言語評価や嚥下評価を取ればその評価のまとめ、家族や患者さまに対しての説明用の資料作成…など、本当に書類が多く、パソコンに向かっている時間が長かったです。

新卒の私は、当然ながらそれに慣れていないので、臨床業務の合間にとか、パターンとしてこういうことを書く、ということもわからずに、とにかく時間がかかり、書類作成でサービス残業の日々でした。

また、立ち上げだったこともあり、購入するものやテストバッテリーをどうするかの話し合い、臨床業務以外での多職種との会議なども多く、それにわからないなりに参加しなければならないのも大変でした。

休みが少ない、もしくは、取りにくかった

週ごとのお休み、も思っていた以上に少なかったのですが、お昼休みがPT,OTに比べて取れないというのが、一番つらかったです。お昼の休憩時間と、患者さまのお昼ご飯の時間は絶対というほどかぶります。

そして、新患の患者さまの最初の食事はお昼ごはんから開始、ということが多いですよね。そうなると、自分はご飯を食べずに、患者さまの食事を評価しに行かなければなりません。

私の職場は、立ち上げだったことと、先輩が昼休みを削りがちなのが当然という感じの人で上層部にあまり掛け合う気がなかったということもあり、ほとんどお昼休みは評価でつぶれてしまうことが多かったです。

そうなると、ほかの職員が食事を食べて、ゆっくりおしゃべりしたりお茶を飲んだりしているタイミングで帰ってきて、急いで食事をかきこみ、午後の業務に向かう・・・なんてことが日常茶飯事でした。

また、自分が休むと誰かが代わりに患者さまに入らなくていはいけなくなります。その代行業務のための準備も大変で、有休をとるなんて面倒ごとが増えるだけ、といった感じで、少しの体調不良では出勤することが多かったです。とにかく、休みにくい印象でした。

他職種からの理解が少なかった

私が就職した先は、入職時には言語聴覚士部門はなく、立ち上げからスタートでした。言語聴覚士自体がリハビリ課の中ではマイナー職だったこともあり(今より10年以上前のため、リハビリ職でも言語聴覚士と働いたことがない人も多かった)、他職種からは「言語聴覚士って何ができる人なの?」という感じのことを言われることも多かったです。

栄養科とやり取りをしたり、看護師と嚥下についての条件等をすり合わせる際にも「なんか新参者が来ていろいろ言われて迷惑」というような顔をされることもありました。

また、病棟では「嚥下機能評価のために」入る食事介助の場面だけをみて「食事介助してくれる人なんでしょ」という風にとらえられることも多かったです。

当時の病院は整形疾患も多く、理学・作業療法士は1単位で患者さんをに介入したりしていたので「言語聴覚士さんはのんびり患者さんみれていいよね」というように皮肉を言われることもありました。そんな感じで、他職種から理解を得るのに苦労をした記憶があります。

治療技術への不安が強かった

新卒のうちは、当たり前かもしれませんが、治療技術に対しても不安を持つものですよね。

とはいえ、教育体制がしっかりしたところだと、はじめのうちは先輩の治療場面に一緒に入って勉強をさせてもらったり、画像を見るコツの勉強会があったり、症例発表が必須だったりで、そこから治療技術を向上させていくことができたりすると思います。

しかし、私の場合は、それは少なかったように思います。立ち上げで忙しく、先輩も新人の面倒を細かく見る余裕はなかったのでしょう。

また、言語聴覚士が取れる算定の脳血管疾患よりも、整形疾患に強い療法士が多く、他職種からの指導もあまり見込める状態ではありませんでした。

そのため、常に手探りで治療を進めていっているような状態で、どうすればより患者さまをよくしていけるのか、わからないことも多く不安が強いまま臨床を進めていっていました。このままここにいても、成長のスピードは遅いままではないか、という気持ちを持っていたのを覚えています。

1年目で辞めず3年目に退職した理由

  • 石の上にも3年という言葉を信じ、とりあえず3年は修行のつもりで頑張ろうと思ったため
  • 経験豊富な先輩がいる、VF(嚥下造影検査)が毎週あるなど、スキル向上には良い職場だと思ったため
  • 臨床技術で自信がついてきて、他職種との連携も少しずつ上手になっていったため
  • 趣味で始めたカラーセラピーにのめりこみ、これを仕事にしたいと考えたので、退職した

上記のようなことがあり、新卒の時点で「もう言語聴覚士辞めたい…」と何度も思った私でしたが、結局3年半ほどはその職場にとどまりました。

その理由としては、よく言われる「石の上にも3年」という言葉が頭の中にあったからです。職場を変えたって、人間関係はついて回るし、やれる業務はあまり変わらないだろうから、とにかく3年我慢して頑張ろうと思っていました。

また、一生懸命に仕事をしていくうちに、スキルを上げるにはここはなかなかにいい職場である、ということが分かってきました。

その当時では珍しかったVF(嚥下造影検査)をできる医者と先輩がいて、毎週のようにVFを行っていました。透視画像を使わない実際場面での評価と、VFでの評価をすり合わせていくことで、嚥下評価・訓練の勘所もつかめ、臨床技術に少しずつ自信をつけていくことができました。

臨床に自信がついてくると、他職種との連携も少しずつうまく行くようになっていきました。

そうやって自信がついてうまく臨床が回り始めたところでしたが、勤め始めて3年弱の時に出会ったカラーセラピーにのめりこみ、「これを自分の仕事としてやっていきたい」と考えて、結局その職場を退職することになりました。

1年目で言語聴覚士を辞めてOKな人、NGな人

結局、私は3年間続いたわけですが、1年目から言語聴覚士をやめたくなる気持ちはよくわかります。でも、気持ちだけ先走ってもあまりいいことはありません。

せっかく、合格率の低い国家試験を頑張って取った資格ですし、まぁまぁなお給料ももらえます。1年目のうちは手探りで業務も多く、苦しいですが、患者さまや家族から「あなたが担当でよかった、ありがとう」と感謝されたりして、やりがいを感じたりすることも増えてきます。

そのふも踏まえたうえで、私が考える、1年目で「辞めてはいけないひと」と「辞めていい人」をお伝えしたいと思います。

辞めてはいけない人

  • 業務を開始して3か月未満の人
  • 大き目の総合病院で働いていて、部署異動があるひと
  • 次の仕事のイメージがないひと

もし、上記に当てはまるひとなら、言語聴覚士を1年目で辞めるという決断を少し待った方がいいかもしれません。

特に、業務を開始して3か月未満、といったら、まだ研修期間のような感じだと思います。取得目標の単位数(勤務先によってあったりなかったりですが)も、まだ、100%ではないはずです。

その状態ではまだわからないことも多く、自分にとっての本当に苦手な分野、あるいは得意な分野も把握できていないと思います。その分やりがいを感じにくいのかもしれませんが、それなら、もう少しそこで頑張ってみると見えてくるものがあるかもしれません。

また、もし、部署移動がある人であれば、思い切って次は違う部署に異動させてもらうという形をとるのも手です。環境が変われば、一緒に働く人も、対象患者さまも変わってきます。

この1年は我慢して、もしくは、早めに相談をしてみるのもいいと思います。異動した先では勉強したい分野を見つけて生き生きと働いている後輩を何人も見てきました。

最後に、仕事のイメージがない人の場合ですが、これは、辞めた後で結局とても困ると思います。どこにいっても同じようなことで悩み、職を転々としがちです。次はどんなことに挑戦したい、とか、こういう分野に行きたい、というイメージを、誰かに相談したり調べたりして作ってからのほうが良いかと思います。

辞めていい人

  • 精神的に辛く体の不調がでているひと
  • 環境に変化がないところで働いているひと
  • 継続的に勉強することが苦手なひと
  • やめた後にやりたいことがあり、明確なビジョンが決まっている人

まず、心身の不調がでているほどであれば、無理をせずにやめた方がいいのは当然です。質の高い治療を提供するには、自分の心身が安定していることが大事なので、ここで無理をしてもいいことはないと思います。

職場自体が少人数でメンバーが長く固定されている、など、環境に変化がないところで働いている人も、辞めることを考えても良いかと思います。今の気持ちは、環境が作っているところもあると思います。

長い時間を過ごす職場の環境は重要です。変化が起こりにくい場所だと、自分の気持ちや学ぶことも変わりにくく、辛いままだと思います。

また、継続的に勉強することが苦手な人の場合は致命的で、どこに行っても勉強することが求められるこの職種にい続けるのは大変だと思います。本当に苦手と思うなら、早めに見切りをつけるのも手でしょう。

辞めた後にやりたいことがあり、明確なビジョンがある場合には、すぐに退職の手続きをとってもいいと思います。

私自身は、「カラーセラピーのお店を自分でやってみたい!」となってからは、面談をしてもらい、退職日を決め、引き継ぎの準備をはじめました。やりたいことがある場合は、そこに向かって行動せずに辞めたい仕事を続けるほうがつらいので、退職に向けての行動を起こすほうがいいかと思います。

1年目で言語聴覚士を辞めたいあなたに最後に伝えたいこと

職場が合うかどうかと言語聴覚士としての適性は別

色々と辛いことがあったり、悩んだりすると、「自分には言語聴覚士としての適性はないんじゃないか」と悩んでしまうのは無理のないことだと思います。しかし、それはもしかすると、単純に職場が合わないだけ、なのかもしれません。

1年目の時は適性と環境を分けて考えるのは難しいかもしれません。しかし、「環境が合わないだけかも」という視点で悩みを見てみる、客観的なアドバイスをくれる人に相談する、などしてみてください。

自分には頑張る底力があることを信じること

課題、実習、そして合格率の低い国家試験を経て資格取得したあなたには、頑張っていろいろな課題を乗り越えるだけの力は備わっていると思います。今はただ、疲れてしまっているだけかもしれません。

いったん自分の心身を休めてみてから、辞めるのか、続けるのかは決めてもいいと思います。どちらにしても、「自分には頑張る底力はちゃんとある」ということを信じて行動してほしいと思います。

国家資格を持っていても全然違う別の仕事をやってもいい

国家資格を持っている、それなのに、それを生かす仕事をしていない、というと、周囲の人からは「もったいない」といわれることもあるかと思います。

でも、私個人としては、そういうことは気にしなくていいと思います。どうしても、という場合にはまたその国家資格を生かして就職しなおせばいいのです。全然違う仕事をやってみたい、と思ったときには、思い切ってそれにチャレンジするほうが、人生を豊かにすることができるのではないでしょうか。

まとめ

私は、3年半で言語聴覚士をいったんやめて、全然違う「カラーセラピーのお店」を始めました。色々あり、2年半で言語聴覚士に復帰しましたが、最初に辞めたときの後悔はほとんどありませんでした。

辞めたからこそ、見えてきたものもありますし、辞める前に頑張ったことがあとになって生きてきたこともあります。

仕事というものは、人生の大半の時間を占めるものです。それが余りにつらければ、違う選択をするというのは、恥ずかしいことでも間違っていることでもないと思います。色々な情報を集めて、相談などもして、今後のことをゆっくり考えてみてください。

私が書いてきたことが、少しでも参考になったなら嬉しく思います。

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