新人で医療事務を辞めたい…難しいし向いてないとも思いましたが…

医療事務の資格を取れば将来困ることもないだろう。病院の受付に立って医師と患者さんの仲介役として役に立ちたい。そう思い立ち医療事務として働きました。

しかし、実際に働いてみると日々の忙しさの中で行われるセクハラ・パワハラ、他にも思い描いていたよりも度重なるストレスフルな環境に、日に日に逃げ出したいという気持ちが勝りました。

現在私は転職しましたが、医療事務を辞めるという判断に行きつくまでたくさん悩みました。この文章を読んでいるあなたも、もしかして医療事務の仕事に不満があり今後辞めようかと考えているのではないでしょうか?

ここでは辞めたくても辞められずに医療事務に8年間従事し続けた私の体験をお話ししたいと思います。あなたの未来の選択肢の一つのきっかけになればと思います。

目次
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新人で医療事務を辞めたくなった理由

男性医師からのセクハラが当然のように行われる

社会人として病院で勤務するようになり実感したのは、医者という職業の人たちは女性を軽視しすぎてるのでは?ということでした。

付き合いや接待で夜の街に行く機会や、医師という立場上ちやほやされる機会が多いからなのか、全体的に世間一般の男性に比べてセクハラに対しての認識が低いんです。もちろんすべての先生がセクハラを行っていたわけではありません。真面目な先生もたくさんいらっしゃいましたしね。

しかし、その中でも一番厄介だな、と思ったのが整形外科のN先生。

仕事中にもかかわらず二人きりになるとこっそりと食事や、ストレートにホテルに誘ってくる既婚の先生って本当にドラマの中だけでなく居るんです。

「今度知り合いが主催するパーティがあるから一緒に行かないか。君ならスタイルも悪くないし年齢もギリギリ大丈夫。ちゃんと手当もつけるから。」

どこかのお店のお姉さんだと勘違いしているのか、こちらが角が立たないようやんわり断っても遠慮していると思っているのか屈しません。しかも病棟の看護師がその現場を目撃したのか、次の日出勤すると噂に尾ひれがつき私とN先生が不倫関係である話になっていました。

もちろん否定して回りましたが、N先生のお誘いは私が退職するまで続いたのです。

他の先生からも医療事務の子は面接に水着審査があるんでしょ?と本気なのか冗談なのかわからない質問をされたり、話の途中でいきなり腰を抱かれたりもありました。

扱いがヒエラルキーの最下層であると感じる

病院には看護師をはじめ、検査技師や薬剤師、放射線技師などたくさんのスタッフが勤務しています。しかし、医療事務は資格取得期間が短いが故、誰にでもなれる簡単な仕事だと思われ軽視されていると感じる場面が多々ありました。

実際に看護師から直接嫌味を言われた事もあります。医療事務の人ってニコニコしてるだけでいいから気楽でいいね、と。

勤務中は狭い窓口の中を慌ただしく動きながらごった返す患者さんの相手をし、受付業務や診療報酬請求、会計業務を行います。それ以外にも先生や他スタッフの問い合わせに対応しながらカルテ内容の確認など、その仕事は誰にでもできるものではないという自信があります。

しかし、その業務が看護師の中ではただニコニコしてるだけの仕事と判断されている事に、私はショックを隠し切れませんでした。

長期の休みを取得できない

あなたの病院ではゴールデンウイークや正月休みなどの長期間の休日はありますか?

私のところは基本的に月末から翌月10日迄のレセプトが長期の休みに重なるため、連休といっても2~3日でした。

それ以外休みでの2日以上取れる事はありません。少ないスタッフの人数で受付窓口のシフトを回さなくてはならないため、冠婚葬祭以外の理由では基本的に連休は取れませんでした。

そればかりか、冠婚葬祭の理由があっても急に休みを取ることはよく思われなかったので、次の日出勤するとあからさまに迷惑だったという空気が部署内に漂っていて苦痛でした。

時間外勤務が多かった

勤務時間は8時20分から17時。しかし最低限の人数しか医療事務は居なかったため、勤務時間内に通常業務が終える事はありません。18時退社が当たり前でした。

それに加えて月末から10日までのレセプト期間。またそのレセプトに不備が無いよう日頃からのチェック作業。その作業は診療時間が終了してから開始していたため、大体月の半分以上は退勤が20時~21時が当たり前でした。

しかもほとんどがサービス残業。他のスタッフが帰宅し、あたりが暗くなっても受付の電気だけがいつまでもついていました。

新卒1年で医療事務を辞めずに8年踏みとどまった理由

同期が次々と退職した

本当は半年ほど経過した時点で医療事務の仕事を辞めたい、と思っていたんです。しかしまだ社会人になったばかりだし、まだ自分が未熟だから、せめてもう少し頑張ろうと自分を奮い立たせました。

そんな矢先、2人いた同期が次々と辞めていき医療事務の新入社員は私一人になってしまったのです。

仕事を進めていく最中、上司からは辞めないよね?と遠回しに念押しされる機会も増え、まさか自分も辞めたいなんて言い出せない雰囲気に恐怖を覚えました。

学生時代に3年以上働かないと転職は厳しい、と聞かされた事を律義に守った

専門学校時代には就職したからには3年以上働かないと次に転職するときが厳しい、と散々教えられてきました。今思うと全然そんなことはありませんけどね。

もしそれが本当なら今ごろ日本中に無職の人が溢れてしまいますから。

でも当時の私はそれを鵜呑みにし、周りを心配させないためにもせめて3年間は頑張ろうと自分に言い聞かせました。3年たったらタイミングを見て辞めさせてもらおう、と。

それでも就職してから1年が経つと新人という認識が無くなり始めます。すると徐々に委員会や会議を任されるようになりました。中には会議に出席するだけではなくて議事録を書いて提出したり、小さな会議の議長を任されたり。

通常業務と並行してやらなくてはならなかったため、時間に追われいつも気持ちが焦っていた事を覚えています。

だんだんと責任がある仕事を任され始めた

オーバーワークに時間外出勤、その他にもいろんな事情で次々と先輩や上司が辞めていき、3年目になる頃には私が一番勤続年数が長いという理由で責任者になってしまいました。

当時まだ23歳でしたが、当然他部署の責任者は私よりも20も30も離れた人ばかり。そんな中でも全医師と各部署の責任者が集まり、月に1度行われる診療報酬の査定報告は苦痛でした。

ピリピリとした空気の中で代表として診療報酬の査定内容の報告をします。

査定=病院のマイナスですから、その報告一つで全先生やその部署の評価がかかっているんです。上がることは無いけど下がる時はとことん下がるんですよね。

査定の点数が高額になればなるだけ理事長は患者の主治医を責め立て、主治医は医事課の請求の仕方に責任を擦り付け…。会議が終わるたびに来月の会議は無事に終わりますように…!!と本気で願っていました。

そのころには辞めます、なんて簡単には言えなくなってしましました。

【補足】8年目で呉服屋に転職した理由

そんな毎日がずっと続くのかな、と退職することを半ば諦めて居た頃、自分の中で衝撃的なことが起きたのです。それは、自分たちを総括する立場にある事務長が一年後に定年退職するという知らせでした。

それは仕事がこれ以上増えるという事。ただでさえ手一杯なのにこれ以上は本当に無理…。想像しただけで恐ろしくなりました。

一刻も早く辞めないと自分が壊れてしまう。逃げるなら今しかない!!と、今までタイミングを探してばかり居た自分が嘘のように、急にスイッチが入ったのを今でも覚えています。

そんな勢いで思い切って転職をし、次の仕事は高級呉服店を選びました。正直医療業界はしばらく近づきたくないと思ったからという安易な理由で選びましたが以外にも医療事務を通して経験したことが大いに役に立ちました。

例えば電話対応や、書類作成。あと患者さんや医師とも話をする機会が多かったため、高齢者のお客さんの扱いや立場の上の人に対して畏まり過ぎずナチュラルに対応ができ、とても重宝されました。

新卒で医療事務を辞めてOKな人、NGな人

新卒で医療事務を辞めることが悪いこととは一概には言えません。でもすぐに辞めたい!と判断する前に少し立ち止まって本当に辞めていいのか考えてみてください。判断はそれからでもいいと思いますよ。

ここでは私が考える医療事務を辞めてもOKな人、NGな人を挙げてみます。

辞めてはいけない人

医師、看護師、患者とコミュニケーションをとることが苦手な人です。

  • 嫌い、あるいは苦手な人がいる
  • まだ入社して3か月以内の人
  • 病院の規則が自分に合わないと感じる人

以上3点に当てはまる人は早まる気持ちを少し抑えて考えてみてください。

上に該当する場合はまだ今後改善の余地があると思います。初めての人とコミュニケーションをとることは確かに不安がつきものですが、意外と最初は嫌な部分だけが露骨に見えますが段々と良い部分も見る事が見つかるかもしれません。

それに大体どの職場でもどうしても馬が合わない人間とはいるものです。案外仕事だけの関係だと割り切ってしまえればどうってことなくなるかもしれません。

ましてやまだ入社して3か月なら仕事にもまだ慣れていない時期でしょう。もう少し仕事に慣れていけば辞めたいという気持ちが徐々に薄れるかもしれません。

辞めていい人

  • 出勤することが心から苦痛である人
  • 今の勤務先でやり残した事が無いと断言できる人
  • 何か別のやりたい事ができた人

上記に当てはまる人はすぐにでも辞めてもいいと断言できます。きっと今の職場にはすでに未練はないのでしょう。

また新しく出来たやりたい事というのが医療事務に精通しているなら経験を積むという点では続けることはとても良い選択肢だと思います。しかし、それが全然違う分野であるなら早々に軌道修正をするべきです。

もし辞められそうなタイミングを探しているなら、そんなものは探してもありません。日に日に環境が変わり月日が経つと益々退職を言い出しにくい雰囲気が増していきますよ。

医療事務からのおすすめ転職先

別の病院やクリニックで医療事務として再就職

せっかく医療事務の資格を取得したのだから一回の就職で挫けず再びチャレンジするのもアリです。先ほども言いましたが、医療機関は大病院からクリニックまで合わせるとたくさんありますし、ハローワークに行ってみるとピンからキリまで大量に求人が出ています。

内部の雰囲気や人間関係なんて入社してみないとわからないですし、医療事務の仕事が嫌になったわけではないのなら何度もチャレンジしてみて自分に合った医療機関を探すのはアリだと思います。

医療事務から治験コーディネーター

治験コーディネーターとは治験を行う際に医療機関や製薬会社、患者の架け橋となってサポートを行う仕事です。もしあなたの病院が治験を実施しているなら受付で見かけたことがあるかもしれません。

医療機関の内部事情を知っている事はコーディネーターにとって有利であり、前職が医療事務、看護師という方が多くいるんです。特に医師に対して新薬の案内や説明などをしなくてはならないため医療知識が必要となってきます。

医療事務から専門学校の先生

医療事務を経験したという実績があれば医療系の専門学校で教員として働く事も可能です。テキストに沿って医療事務やレセプト算定の授業をします。また、クラスを持ったりなど、学校の先生のような感じですね。

ちなみに、私が専門学生だった時の担任だった先生も医療事務経験1年から教師になったと言っていたので経験期間はさほど重要ではないのかもしれません。

新卒で医療事務から転職するときのポイント

退職後の見通しを考えておく

退職を決意したら、まずはその後の見通しを考えておきましょう。次はどんな仕事をしたいのか、それとも再度医療関係を選ぶのか。

しっかりビジョンを明確にしておくことによって退職後どうすればいいのか混乱することを防ぐことができます。

退職の意思を伝える【辞める理由ベスト1】

仕事を辞めるときに何が一番苦痛だと感じますか?ほとんどの人が退職を報告することだと断言できます。

私は医療事務の責任者という立場があったため理事長や院長の部屋へ入る事が許可されていましたが、机の上に他の職員の退職届が放置されている事がよくありました。

駄目だとはわかっているのですが、先生も不用心すぎる故に目についてしまうのです。そこで医療事務や看護師、その他色んな人物の退職届に書く理由ベスト1を紹介します。

それは家庭の事情(帰省、介護、夫の転勤など)なんです。

結果を見ると、なーんだ。ありきたりじゃないか、って思うかもしれません。

ですが、本当の理由はさておき、結局辞める時の理由なんて100%正直に言う必要なんてありません。給与面や仕事内容、職場環境など、退職したい理由は人によって様々でしょう。

しかし、その理由があなたの周りの人にとって少しでも癇に障るような内容ならば正直に言わない方が得策です。特に勤務期間が短ければ短いほど、円満に退職するという事は会社側によっぽど理解が無いと難しいです。

でも、だからと言ってそれに怯えて辞めることなく仕事を続けると、私のように段々逃げ場を失って悪循環になりかねません。

ただ、守ってほしいのは必ず余裕を持った退職日を伝える事です。病院側も急に明日から来ませんと言われても困ります。せめて1か月程度は余裕をもって退職日を伝えましょう。

ハローワークやindeedなど転職をサポートするシステムに目を通しておく

退職後すぐにでも働きたいと考えている場合は転職をサポートするサイトやハローワークなどの求人をチェックし、仕事している傍ら就職活動をしなくてはなりません。

私はindeedを利用しましたが、自分の条件にチェックを入れると該当した会社が一覧で出てきてとても見やすくなっていました。

また、ハローワークでは窓口に求人情報を見たい旨を伝えるとパソコンが貸し出され、自分の条件に合った求人の閲覧が可能です。

それに、困った場合は窓口の人に相談することもできるのでこんな求人はありませんか…?と自分から質問することによってハローワークの職員が探してきてくれる事もあります。

まとめ

医療事務を辞めたい。でも辞めてもいいのかな?

おそらくあなた自身の中でたくさんの葛藤があって、この記事を読んでくれてる事だと思います。一度辞めたいと強く感じた時点で、その思いは今後ずっとあなたに付いてまわります。

その気持ちが苦痛に変わる前に、思い切って自分の環境を変えてみる事も一つの選択肢です。

私は就職して半年で辞めたいと思いました。でも辞めると言い出すのが怖くて心の中で葛藤したまま、ボロボロになりながら8年間も続いてしまいました。

でもあの時勇気を出し、辞めます!と言えていれば、また違った環境で医療事務の仕事が出来ていたのかな、と今でも少しだけ思います。

私の経験が少しでもあなたの役に立てたらとても嬉しいです。

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